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『中医学』ちょっと難しい東洋医学の考え方 脾
2025-10-20健康情報
加世田 KASEDA
脾は、中医学における主要な臓器
脾は、中医学における主要な臓器の一つで、西洋医学の脾臓とは異なる概念を含んでいます。中医学の脾は、消化吸収機能、水液代謝、血液の統摂(コントロール)など、幅広い生理機能を担っており、人体の健康維持に非常に重要な役割を果たしています。
ここでは、中医学における脾の主な働きをいくつかご紹介します。
1. 運化(うんか)機能: これが脾の最も重要な機能です。運化とは、「運び、変化させる」という意味で、具体的には以下の2つの側面があります。
o 水穀(すいこく)の運化: 飲食物を消化吸収し、そこから得られる栄養物質(精微物質)を全身に輸送する働きです。脾の運化機能が正常であれば、飲食物は適切に消化され、気血津液(きけつしんえき:人体の基本的な生命物質)が十分に生成され、全身に行き渡ります。
o 水湿(すいしつ)の運化:体内の水液代謝を調節する働きです。脾は、摂取した水分を体内に適切に分配し、不要な水分を体外に排泄するのを助けます。この機能が失調すると、水湿が体内に停滞し、むくみ、痰、肥満などの症状が現れることがあります。
2. 昇清(しょうせい)機能: 脾は、消化吸収した精微物質を上部(心、肺など)に昇らせる働きがあります。これにより、心は血を生成し、肺は気を生成することができます。また、昇清作用は、内臓が正常な位置に保たれるためにも重要です。この機能が失調すると、内臓下垂(胃下垂、子宮下垂など)や慢性の下痢などが起こることがあります。
3. 統血(とうけつ)機能: 脾は、血液が脈管外に漏れ出さないように統摂する働きがあります。これは、脾が気(エネルギー)を生み出し、その気が血液を脈管内に保持する力を持つためと考えられています。脾の統血機能が低下すると、皮下出血、不正出血、血便などの出血傾向が現れることがあります。
4. 主肌肉・四肢(しゅきにく・しし): 脾は筋肉と四肢(手足)を主るとされています。脾の運化機能が正常であれば、筋肉に十分な栄養が行き渡り、引き締まって力が充実します。脾の機能が低下すると、筋肉の萎縮、筋力低下、四肢の倦怠感などが起こることがあります。
5. 開竅於口、其華在唇(かいきょうおくち、きかざいしん): 脾は口に開竅(かいきょう:体の表面に現れる窓のようなもの)し、その栄華は唇に現れるとされています。脾の機能が正常であれば、食欲旺盛で味覚も正常であり、唇には潤いと血色があります。脾の機能が低下すると、食欲不振、味覚異常、唇の乾燥や蒼白などが現れることがあります。
脾の失調による症状の例:
• 脾気虚(ひききょ): 疲労感、倦怠感、食欲不振、お腹の張り、軟便、下痢、むくみ、顔色不良など。
• 脾陽虚(ひようきょ):xz 脾気虚の症状に加え、冷え性、手足の冷え、浮腫が顕著になるなど。
• 脾不統血(ひふとうけつ): 皮下出血、不正出血、血便、月経過多など。
• 脾虚湿困(ひきょしつこん): むくみ、痰が多い、体が重だるい、頭が重い、食欲不振、泥状便など。
中医学では、脾を養うことが全身の健康維持に非常に重要であると考えられています。日々の食事や生活習慣に気を配り、脾の働きを助けることが推奨されます。
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