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鍼(ハリ)はなぜ効くの?陰陽五行論から(東洋医学の考え方)
2021-10-04健康情報
加世田 KASEDA
東洋医学の基礎となる考え方で、鍼灸や漢方薬の他、陰陽道などの占術に用いられています。
陰陽五行論は紀元前3000年頃に成立した中国の陰陽論と、紀元前2000年頃に成立した五行論が合わさって、紀元前300年頃の斉(せい)の思想家『鄒衍』(すうえん)によって、2つの思想をまとめたと言われ、宇宙の全てを二つの陰陽と五つの元素(木・火・土・金・水)に分けられると考えました。この考え方を陰陽五行論と言うのです。
日本には、飛鳥時代に伝わり明治時代(西洋医学)になるまで、その陰陽五行論が主流になっていました。
私はマッサージの資格以外に鍼・灸の資格も保持して30年ほど、治療院をやっていました。その治療院の時には、多くの患者さんを治療して、不快な症状を改善してきました。
そんな 加世田が、『鍼』(ハリ)はなぜ効くのか?「陰陽五行論」について説明していきます。
陰陽五行論『陰陽』とは?
『陰陽論』は、五行論が誕生するはるか昔からある考え方で、宇宙の全てを陰と陽に分ける考え方です。
陰と陽とは、2つの対になる物事を表しています。
例えば「月と太陽」「女性と男性」「裏と表」「夜と昼」(前者が陰で、後者が陽)などです。
自然界の森羅万象が「陰」と「陽」に分かれていて、一方が無ければもう一方も存在しないとする考え方を「陰陽論」と言うのです。
陰陽は(+)と(-)のように相対する両極のどちらに属性が高いかによって二分類する考え方で、固定的なものではなく振り子が一方に振り切れると反対方向に戻るように、そのバランスは常に変化して増減しています。
両者は、互いに引き合い補い合い、一方が進むと一方が退き、一方が動きの極点まで達すると他の一方に位置を譲って循環と交代を無限に繰り返しています。
陰陽とは、「気」の二面性を表すものであり、万物を形作り、それに生命、活力を与える物質(エネルギー)のことです。
「陽気」熱・明・動・軽・剛などの属性を持ち、攻撃的、能動的、昂進的状態に傾いている。
「陰気」冷・暗・静・重・柔などの属性を持ち、防衛的、受動的、鎮静的状態に傾いている。
この2つに分類するのは、「優劣」とか「善悪」という区別ではありません。右という概念があることによって左が存在するように片方があることによってはじめてもう一方も成り立つという事です。
五行論とは?
五行論は陰陽を更に分類して、この宇宙の全てを「木・火・土・金・水」の5元素によって自然現象や人事現象を解釈し説明しようとする思想を五行論といいます。
あらゆる自然現象や人事を範疇ごとに5つに整理してそれぞれ五行のいずれかに帰属するとみなす理論です。
五行はお互いに影響し合い、隣同士の関係を「相生関係」(そうせい)向き合った関係を「相克関係」(そうこく)といいお互いに影響し合っています。
相生関係とは?
「水」を吸って「木」が育ち、「木」を燃やして「火」が栄えます。「火」が燃え尽きると「土」になり、「土」から「金」属が生じ、「金」属は溶けると「水」に戻ります。隣り合うものに勝っていき、一周すると同じ強さだということが分かります。このように、「水」→「木」→「火」→「土」→「金」の順に相手を強める影響をもたらすことが「五行相生」であります。
相克関係とは?
「水」は「火」を消し、「火」は「金」属を溶かし、「金」属は「木」を切り倒し、「木」は「土」から栄養分を吸い取り「土」は「水」をせき止めることができます。
「水」は「火」に、「火」は「金」に、「金」は「木」に、「木」は「土」に、「土」は「水」に影響を与え弱め、抑制して調節する関係を「五行相克」といいます。
五行のバランス
相生関係によって力を増し、相克関係によって勢いのバランスを取っています。どれか一つが欠けてもいけないし、力が強くなりすぎてもいけません。力の関係が崩れたら全体がおかしくなってしまいます。
「木」が燃え続ければ「火」はやがて消えてしまいます。「水」が溢れ続ければ「木」は腐ってしまいます。「水」が付き過ぎると「金」属は錆びてしまい、「金」を摂りすぎると「土」も無くなってしまいます。「火」が燃え続けると「土」の処理能力が追い付かなくなります。
このように全体の5つのバランスで成り立っているのが五行論です。
陰陽論から五行が生まれたので、陰陽五行論と呼ばれるようになりました。
五行の色体表
「五行」によって自然界を分類したとき、わかりやすく示したものが「色体表」です。「五臓」「五腑」が「五行」に相当するように、季節や色、味といったさまざまな要素もまた、相当する「五行」の属性を持ち、相互関係にあります。
例えば、「木」「肝」が弱る時、体の色は青味がかり、筋肉や目に変化が起き、怒りやすく、酸っぱいものを好み、涙もろくなる。というように、それぞれの属性によって体に変化が起きてきます。その変化を読み取りながら、弱っている属性の例に挙げた「木」「肝」であればその親である「水」「腎」に力を与えながら、「木」「肝」を助けるように治療していくと五行のバランス(五角形)が整い正常な身体に戻っていくという事です。
まとめ
陰陽五行論は初期には自然現象を説明するために用いられましたが、後に政治、経済、医学(安倍晴明など陰陽術や占術、中医学)など生活様々な場面で用いられるようになりました。
中医学(東洋医学)でも、この陰陽五行論の考え方が人の身体の変化を陰陽五行のバランスの変化と照らし合わせて人の身体を太極として、陰陽五行を五臓五腑に当てはめバランスが崩れた時に病気が発症すると考えています。
言い換えれば、陰の「木・火・土・金・水」は「肝・心・脾・肺・腎」と陽の「胆・小腸・胃・大腸・膀胱」に置き換えられ、どれかの属性が弱くなった時に病気が発症しますが、相生・相克の関係を使い弱くなった(病気)属性の物を元気にしてあげることで病気に打ち勝てる体を手に入れることができます。
これが、漢方の湯薬や鍼治療の時の基本的な考え方で人の身体を元気にして行けるという事です。
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