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意外と難しい「呼吸」の話
2020-09-01健康情報
こんにちは、柏です
今日はタイトルにもあるように「呼吸」についてお話をしたいと思います。
みなさんの中で、自分はちゃんと呼吸しているぞ、という人はどれくらいいるでしょうか?赤ちゃんでもできてる事だし、当たり前でしょ?そう思われるかもしれません。
反対に、きちんと呼吸できていないような感じがすると言う方もいるのではないでしょうか?最近では、「なんだか息苦しい」と言う理由で呼吸器内科を受診する人が増えているんだそうです。慢性的に息苦しさを感じる人が以前よりも増えているんですね、その原因はどこにあるのでしょうか?
この記事では、息苦しさを感じる原因とその対策について解説していきます。
息苦しさだけではなく
~上半身をねじると胸のあたりが痛い~
~胃の周囲に痛み、不快感があるが薬を飲んでも辛さが変わらない~
~長時間デスクワークをしていると、胸や背中周りに苦しさを感じる~
といった症状がある方にも読んでいただくと、自分の体がどうなっているのか理解できると思います!上記3つの症状については、記事の中で詳しく解説していますので当てはまる人もぜひ読んでみてください!
-- この記事で説明していること --
・呼吸が下手ってどういうこと?
・胸郭が硬くなりやすいのはこんな人
・マッサージでできることはあるの?
.
〜呼吸が下手ってどういうこと?〜
呼吸が下手な人は、息をきちんと吸うことができていない人です。なぜ息をきちんと吸えないのか?
大きな要因の1つとして挙げられるのは、『胸郭』が硬くなっていることです。
胸郭は、胸の前にある胸骨と背中側の胸椎、それを取り巻くようにくっつく肋骨によって構成されています。
肋骨には呼吸をする際に働く横隔膜の他に、「肋間筋」と呼ばれる筋肉がついています。胸郭の作りは提灯の構造と似ています。提灯の骨組みが肋骨で、提灯に貼られた紙の部分が肋間筋と考えてみてください。
肋間筋は名前の通り肋骨と肋骨の間にある筋肉で、息を吸い込むときに肋骨を前後に広げて肺が膨らみやすい状態を作ります。
また、息を吐き出すときには胸郭を狭めることで息を吐きやすくする手伝いもします。呼吸をする際にメインで働く筋肉は横隔膜ですが、肋間筋はその補助を担う筋肉です。
骨組みの間にくっついている紙が硬くなってしまったら、提灯はうまく膨らみませんよね?それと同じで胸郭が硬い状態というのは、肋骨にくっついている肋間筋が硬くなってしまった状態のことを言います。
肋骨は左右合わせて24個あり、肋間筋はそれぞれの肋骨の間にくっついています。筋肉自体の力はそこまで強くはありません。
ですが1つ1つの肋骨にそれぞれくっついているので、肋間筋が硬くなると胸郭全体の柔軟性が乏しくなってしまいます。
胸郭が硬くなる仕組みはお分かりいただけましたか?
では「胸郭の固さが呼吸に関係する理由」について解説していきます。
肺は肋骨で覆われた胸郭の中に存在しています。胸郭は肺を保護、収納しているケースのような役割があります。私たちは呼吸をする時に、横隔膜を使って肺を大きく膨らませることで息を吸い込んでいます。その際に、肺を覆っている胸郭も同時に広がって息を吸いやすい状態を作ります。つまり、胸郭が広がりつつ肺が膨らむことで大きく息を吸い込めるというわけです。
ところが、肺を収納している胸郭が硬い状態だと肺が十分に膨らめないので大きく息を吸い込むことができなくなってしまいます。肺は膨らみたいのに、入れ物である胸郭が硬いと肺は大きく膨らむことができませんよね?これが、胸郭の固さが原因で息をきちんと吸うことができないメカニズムになります。
胸郭は硬いイメージがあるかもしれませんが、肋骨とそれにつく肋間筋でできているので意外と柔軟に広がるんですよ。仰向けに寝て大きく息を吸うと胸が膨らんでくる感じがしませんか?もし同じように息を吸っても胸が膨らむ感じがしない人は、肋間筋が硬くなって胸郭が広がりにくくなっているのかもしれません。
〜胸郭が硬くなりやすいのはこんな人〜
胸郭が硬い人は、息を大きく吸うのが苦手だったり、息を吸い込んだ時に胸のあたりが苦しい感じがします。
胸郭が硬い人に共通していることを大きく3つにまとめてみました。当てはまる人は気がつかないうちに息をきちんと吸い込めなくなっているかも!
・長時間前屈みの姿勢でいたり、猫背でいることが多い人
お仕事でパソコン作業が多い人は、姿勢が丸くなってしまいがち。まるまった姿勢は、肋骨と肋骨の間を狭めてしまいます。
長時間のデスクワークで姿勢が崩れたまま作業をしていると、胸郭の柔軟性が失われて元に戻らず固まってしまいます。車を長時間運転する人も、同じ姿勢でいることで胸郭の柔軟性が失われやすいので覚えておきましょう。
・寝るときに、いつも同じ方向を向いて横向きで寝る人
寝るときはいつも右を下にして眠る。寝る時に左側が下じゃないと落ち着かない。
いつも同じ側を下にして寝る人は、下になっている方の胸郭が硬くなっているかもしれません。右を下にして寝る人は、右側に体重がかかりますよね?そうすると下になっている方の胸郭が圧迫されて硬くなります。このタイプに当てはまるのは、赤ちゃんがいるお母さん。添い寝をしながらおっぱいをあげる時に同じ側を下にする人は要注意です。
・下着の締め付けがきつい人
締め付けの強い下着をつけていると、胸郭は四方八方から押さえ付けられているような状態になります。下着の締め付ける力はそこまで強くなくても、1中締め付けられるのはかなりのストレスです。それが毎日ともなると、、胸郭が硬くなりそうな気がしませんか?
体型が変わってサイズが合わない下着をつけていたり、補正下着を普段から身につける人は深呼吸をして胸郭がちゃんと広がるかチェックしてみましょう。
上に書いた例は、胸郭が硬くなっている人を施術をした中で多かったケースです。3つめに書いた 下着の締め付け に関しては、女性に限定した話になりますが、実際は他の2つも女性に多くみられます。
男性と女性の筋肉の量を比較すると、女性の筋肉量は男性よりも30%ほど少ない(もちろん個人差はある)と言われています。
特に差が大きく現れるのが上半身の筋肉量。マッサージを受ける理由でも、男性の1位が「腰痛」なのに対して、女性の1位は「肩こり」。重さを支えるための筋力が少ない女性は、重たい頭部を支えきれずに首肩周りの筋肉に負担がかかって肩が凝るんですね
同じ理由で、女性の方が姿勢が乱れやすく猫背になりやすいというわけです。
また、寝る際の姿勢も男女で大きな差があると言われています。
男性の48%が仰向けの姿勢で寝るのに対して、女性は53%が横向きで寝るそうです!ご存知でしたか?
硬くなった胸郭をそのまま放置していると、肩こりや背中の痛みにつながっていきます。
ここで簡単なセルフケアをご紹介します。その名も『バンザイ深呼吸』
①大きくバンザイをしながら「鼻から」息を吸います(この時に胸に空気が入るイメージで)
②バンザイした手を真横に伸ばしながら吸えるだけ息を吸いましょう
③鼻から息を吐きながら手を下ろします
たったこれだけ。ネーミングにはなんの捻りもありませんが、効果は抜群です!
このバンザイ体操①〜③を5回ほど繰り返してみてください、。体操をする前と比べて息が吸いやすくなる感じがすると思います。
腕を上げながら息を吸うことで、肋間筋が緩みます。また、腕を上げることで肋骨も上に上がるので、自然と胸郭が広がるというわけです。ちなみに、同じ動作をしながら口で息を吸うと、胸に空気が入りにくい感じがするので「鼻から」息を吸うようにしましょう。
この方法で息が吸いやすくなったり、胸郭が広がった感じがすれば大成功!硬くなった胸郭に対しては、呼吸をすることで中から肋間筋を緩めることができます。
朝昼晩と決めて行うのもいいですし、朝起きたときや夜寝る前に取り入れるのもおすすめです。まずは1度チャレンジしてみましょう!
〜マッサージでできることはあるの?〜
あります!
肋間筋が硬くなり過ぎて胸郭が広がらない人や、姿勢不良でバンザイ呼吸をしても息を吸い込めない人に対しては、マッサージでアプローチすることが可能です。
私たちは骨を柔らかくすることはできませんが、筋肉をほぐすことは得意です。胸郭は肋骨と「肋間筋」でできていると説明しました。この肋間筋がほぐれることで胸郭が広がりやすくなります。また、肋間筋だけでなくそのほかの筋肉が影響する場合もあります。例えば、前鋸筋と呼ばれる筋肉は肩甲骨を固定した状態で肋骨を引き上げる働きがあります。ボクサーの脇腹がムキムキなのは、この前鋸筋が発達しているからです。
胸郭の固さを作りだすのは胸郭に付着する筋肉以外にも、まるまった姿勢だったり肩甲骨のズレだったりします。それらを引き起こしている筋肉をほぐして姿勢をまっすぐにしたり、ズレた肩甲骨を元の位置に戻すと胸郭にかかる負担が減ります。それが胸郭の柔軟性を取り戻すことにつながっていきます。
冒頭でこんな症状がある方について触れました、ここでなぜそうなるのか解説したいと思います。
“長時間デスクワークをしていると、胸や背中周りに苦しさを感じる その原因は”
ここまでブログを読んでくださった方はもうお分かりですね。胸郭が広がらないのは肋間筋が硬くなるからでした。デスクワークのように同じ姿勢で長時間過ごすと、姿勢が崩れて肋骨の間が狭まり肋間筋が硬くなってしまいます。呼吸の補助をする肋間筋が硬くなると、息をきちんと吸いにくくなるため息苦しさを感じるというわけです。胸や肋骨の間をひろげるようにマッサージでほぐしていくことで、症状が緩和されますよ。
“どうして 上半身をねじると胸のあたりが痛い のか”
「上半身をねじる動き」というのは、胸郭に「たわみ」や「しなり」といった可動性があって成立する動作です。肋間筋が硬くなって胸郭の柔軟性が失われている状態は、胸郭が〈たわんだり〉〈しなったり〉することができなくなります。上半身をねじると胸のあたりが痛くなるのは、ねじる動作に対応するための可動性が失われているが原因なんですね。肩甲骨周りの筋肉から胸郭にかけてほぐれると、体幹部の可動域も広がっていきます。
“胃の周囲に痛み、不快感があるが薬を飲んでも辛さが変わらない のはなぜか”
胸郭の硬さによって胃の痛みや不快感が出ていることもあります。どうしてか?胃はお腹の上の方にある臓器で横隔膜と接しています。肋間筋が硬くなることで胸郭が広がりにくくなると、横隔膜の動きも悪くなり隣接している胃はストレスを受けるので痛みや不快感を感じるというわけです。
以前施術した方は細身の女性で背中の疲れが主訴でしたが、呼吸が浅く胸郭が硬くなっていました。マッサージで胸郭周りをほぐしつつバンザイ呼吸をしてもらったところ、背中の疲れと一緒に胃痛がラクになったと仰っていただきました。その後もご自身でバンザイ呼吸を続けるようにしてから、胃痛や胃の不快感はなくなったそうです。
胸郭が硬い人は深い呼吸をするのが不得意です。夜寝ている時に呼吸が浅いと、眠りも浅くなって回復力が低下します。私たちはマッサージをする際に、首や肩の筋肉と一緒に胸郭の固さも確認しながら施術していきます。マッサージで首や肩の筋肉をほぐしても、睡眠時の回復力が低いままでは症状が改善するまでに時間がかかってしまうからです。回復力の低下は痛みやこりがない人にとっても無視できません。
テニスやゴルフなどのスポーツをする際には、体幹の力をフルに発揮できないとパフォーマンスが上がりません。それだけでなく、腕や腰の筋肉に余計な負荷がかかり疲労や故障の原因になる可能性もあります。
肩の筋肉を揉んでもらったけど、いまいちスッキリしない。肩甲骨周りをほぐしてもらったのに、次の日にはまた辛さが戻ってしまう。テニスやゴルフをしていて、パワーが発揮できない。そういったお悩みがある人は、肩や肩甲骨に問題があるのではなく、胸郭の固さが原因なのかもしれません。
〜まとめ〜
深呼吸がうまくできない人は、胸郭が硬くなる姿勢や寝方をしていないか確認してみましょう。姿勢や寝方を意識するだけで、深い呼吸ができるようになるかもしれません。紹介したバンザイ体操は上半身の疲れを感じる方には特におすすめです。
疲れがたまると息苦しさを感じる人や、深呼吸が苦手と言う方はぜひご相談ください。
胸郭自体が硬いのか、それ以外の要素があって胸郭が広がりにくくなっているのか、お話を聞きながら原因を見つけていきます。深い呼吸ができる体を目指して、より良い生活を送れるように私たちがお手伝いします!
柏
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