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便秘には鍼(ハリ)が効く!
2020-09-07健康情報
加世田 KASEDA
自分は、便秘じゃないと思っていませんか? 2~3日排便がないから便秘ではなく、すっきり出ないことが便秘です。
便秘は女性に多い病気ですが、加齢とともにかかりやすい病気で男女差は無くなっていきます。
便秘を改善していかないと、大腸がん・橋本病(甲状腺の機能低下)・パーキンソン・腸の癒着・痔などの大きな病気を見落としてしまうこともあります。便秘をきちんとコントロールしないと、結果、生活の質を落とすことになってしまうので、たかが便秘だと考えてはいけないのです。
私は、マッサージの資格以外に鍼・灸の資格も保持していて、30年ほど、治療院をやっていました。
その治療院と時には、多くの内臓疾患の方を治療して、症状を改善してきました。
その、加世田が便秘について解説していきます。
便秘って何? どんな症状なの?
人が生きていくためには、空気(酸素)を肺で呼吸して、口から食物を取り入れて、胃→十二指腸→小腸→
上行結腸→横行結腸→下行結腸→S字状結腸→直腸→肛門を経て、その間に消化と栄養分の吸収と最後に水分が吸収され便となって排出されます。外から取り入れるエネルギーはこの二つだけです。
食物が胃に入ると大腸が動き始めて便が直腸に運ばれ便意を感じる。便を直腸に送り出そうと運動をはじめるシステムです。その後、肛門が緩み、そして、排便されます。
これらがすべて正常に機能しないと、スムーズな排便が行われず、便秘になってしまいます。
食物繊維は便の量を増やしたり、柔らかくする効果がありますが、便が健康な状態になったとしても、肛門がゆるまなければそれだけで排便が困難になってしまいます。
快適な生活を妨げる要因となる『便秘』。肌荒れや口臭異常(口から便の匂いがすることも)・肥満のきっかけだけでなく、時には病気に繋がることもあります。
便秘の症状として以下のものがあります。
〇何日も排便が出ない
〇便が溜まっている感じはあるが、いきんでも出ない
〇便が出てもスッキリ感がない
〇お腹が張って苦しい
〇下剤を服用しないと出ない
〇便が硬かったり、小さなコロコロな便が出る
〇吐き気がある
〇食欲がない
〇肌荒れ(ニキビ)
等です。
便秘と肌荒れの関係
大腸には便を栄養源にして腸内細菌(善玉菌、ビフィズス菌など)が一定数住み着いて私たちの身体を感染から守ってくれているのですが、便秘をすると便の鮮度が下がり腐敗してしまいます。(日中、冷蔵庫に仕舞わないで、36℃の部屋に24時間お弁当を放置したら・・・)、 すると、乳酸菌や大腸菌は、栄養として便を利用できなくなり、減少していき、代わりに悪玉菌の腸内細菌が増殖していきます。
腐敗した便や悪玉腸内細菌からは、身体に有害な硫黄酸化物などのメルカブタン・アンモニヤ系のガスを発生するようになります。便秘になったり、正常な腸内細菌が減少すると、オナラや便がとても臭くなります。
このような臭気物質や有毒物質は、オナラや便に留まらず、腸内から吸収されて、全身を循環します。便秘をすると肌荒れが起こったり、体臭や口臭が強くなるのは、このようなメカニズムによるものです。
これは免疫力の低下にも繋がっていきます。
腸の運動は自律神経によって調節されています。自分の意志ではコントロールできません。自律神経の失調は便秘を引き起こすだけでなく、いろいろなところに影響します。肌荒れもその一つになります。
便秘の原因って何?
便秘になる原因は以下のようなものがあります。
〇腸の筋力、運動の低下
〇排便反射(直腸に糞便が運ばれてくると便意を感じる)の低下
〇消化器系の疾患(大腸がん・過敏性腸症候群など)による腸の狭窄(狭くなること)・閉塞(塞がること)や蠕動運動(ぜんどううんどう)(便を運ぶ運動)の障害
〇偏食やダイエットなどの極端に少ない食事
〇食物繊維の少ない食事
〇水分摂取不足
〇ストレス
〇糖尿病や甲状腺機能低下(橋本病)などの内科系疾患
〇神経系疾患(自律神経失調症・脊髄損傷・パーキンソン病など)による蠕動運動(腸の運動)の麻痺
〇内服薬による副作用
など、様々な要因が関わってきます。
生活習慣や食生活の乱れから来る便秘であればそれを改善していけばよいのですが、消化器・内科系疾患など専門家の適切な治療が必要になってくる場合もあるので、自己判断はしないで、相談してください。
東洋医学から診た便秘は?
東洋医学では、便秘のことを『秘結』(ひけつ)と呼びます。そしてその原因によって『熱秘』、『寒秘』、『燥秘』、『気秘』、『虚秘』と5つのタイプに分かれます
『熱秘』(ねっぴ)
体が熱く感じたり、のぼせ、口が渇くなどの症状が見られます。原因は体の中に熱をもってしまうと、体液が減ってしまい、それを補うために腸管内の便から水分を多量に吸収するようになります。お酒の飲み過ぎ、辛いもの、味の濃いものの食べ過ぎが原因です。顔面が紅潮し、 尿の色が濃かったり、舌苔が黄色くなります。
対応としては、水分や果物・野菜などをたくさん取って、お酒や辛いものや刺激の強い食べ物を避けましょう。
『寒秘』(かんぴ)
手足の冷えや、腹の冷え、寒け、腹痛などの症状が見られます。原因は冷えにより腸の働きが鈍くなることにより、便秘になります。便の水分はあまり吸収されないので、長く腸の中にとどまった先端部の便のみが水分を吸い取られて硬くなります。気力がない、疲れやすい、倦怠感、風邪をひきやすい、食欲不振などの症状が出てきます。
対応としては、身体を冷やさないことです。身体を暖める食べものを摂り、適度な運動を薦めます。
『燥秘』(そうひ)
単に毎日便を出す習慣がないために、便の水分が吸収されて乾燥してしまい便秘をしてしまうタイプと、腸液の分泌が低下して便が乾燥してしまうタイプです。
対応としては、規則正しい排便リズムを作ることも大切で、水分を十分取りましょう。
『気秘』(きひ)
ストレスや同じ姿勢で長時間過ごすことが多くあまり動かない。このタイプは元気がない、食欲不振、疲れやすいなどの症状がある人で、腸も無気力になり排便が困難になるタイプです。旅行など環境が変わると出なくなります。ゲップが出やすくわき腹が張って痛む口が苦い、憂うつ感などの症状が出てきます。
対応としては、ストレスを上手に解消することです。疲れないように快適な生活を過ごしましょう
『虚秘』(きょひ)
病後や産後、年齢によってあまり体力がなく、腸を動かすエネルギー不足の場合。
気虚:(ききょ)
便意はあるが出ない、便は硬かったり柔らかかったり、息切れ・発刊、排便後に疲労感がある、顔色が白い、倦怠感を感じやすい、脱肛がある。最初は太くて硬いが、最後は下痢になって、排便する力が弱くなる。
血虚:(けっきょ)
長期間の便秘、便はコロコロした兎糞状、顔色に艶がないめまいがある、唇やつめの赤みが薄い、動悸、不眠などの症状が出てきます。
対応としては、滋養強壮に勤め、少しずつ体>力を上げていくようにする。水分の補給(温かいもの)
便秘は瘀血(うっ血や血行障害)の代表的症状とされており,腸管への血流の阻害が原因とされています五臓六腑のうち大腸は“伝導の官”とよばれ,食物を輸送する働きがあることは古来より知られていました。そこで便秘は腸の運動の低下、もしくは食物中の水分が熱のため不足して起こると考えられており、「気血水」と「寒熱」の関係で便秘が起こるとされてきました。
お医者さんは、便秘の治療はどうするの?
食事指導、排便習慣指導、生活指導をし、薬を処方します。便秘症の原因の程度は人により様々です。一人ひとりに合ったお薬の種類、組み合わせ、量を見つけていきます。
便秘は命に関わらないので、軽視している医師が多いのが現状です。便秘に関心の無い医師を受診しても、多くの場合は「刺激性下剤」を処方されるだけのことが多く、これは市販の下剤と同じく習慣性があり、徐々に効かなくなるパターンに陥ります。また、病気が潜んでいる場合もあるために注意が必要です。なかでも、「便秘が急に悪化した」、「数か月続く便秘」は特に注意が必要で、大腸内視鏡で病気がないかを確認する必要があります。
また、便秘の治療を始めるにあたり最も重要なことは、「大腸ポリープ」や「大腸がんが無いことを確認する」ことです。便秘の方は、治療を始める前に大腸内視鏡検査を受ける必要性がある場合もあります。
便秘を解消するにはどうしたらいいの?
先ずは『おなら』を出しましょう!
重要なのはおならを我慢しない事です。ホースで水を撒こうとしたとき、中に空気が入っていてうまく水が出てこないという経験はありませんか?腸もホースと同じで、空気があると便がなかなか出てきません。ですから、
先ず、空気を送ってそれをおならとして出した後、便をまとめながら出口まで運んでいます。
しかし、人前で出すのは恥ずかしいので、我慢せずに出せる環境(トイレ)を確保するなどが工夫が必要です。
もちろん、おならと同様に便意も我慢してはいけません。
便意を我慢してしまうと、やがて何も感じなくなってしまいます。最初は腹痛などがあるものの、人は適応力が高いため、我慢を続けるうちに何も感じなくなってしまうのです。トイレに行きたいという感覚を失うことは、便秘への一本道です。
便秘を改善するためのセルフケア 8つの方法
1、食事をしっかり摂る
2、ヨーグルトなどの、発酵食品を摂る
3、食物繊維を摂る
4、運動をする
5、水分を摂る
6、出ない時は市販薬を試す
7、お腹をマッサージする
8、排便する時は考える人の姿勢(背骨と大腿骨が35度くらい)
なかでも食事をしっかりとることが大切で、一定量の便が腸内に溜まらないと、排出する動きが発動しないからです。
1日3食摂って、食物繊維や腸内環境を整える発酵食品を意識して取ることが大切です。
どうしてもつらい時は、一時的な使用で、市販薬の力も借りましょう。でも長期使用はやめてください。
(「太陽笑顔fufufu」より引用)
便秘には鍼が効く!
東洋医学では、便秘は『気・血・水』(ヒトの体の健康を守る3つのエネルギー)がストレスや緊張の影響で「気」の乱れや鬱血(うっけつ)などからくる「血」の乱れや水分不足からくる「水」の乱れによって、発症すると考えます。
そこへ更に、熱・冷え・乾燥などが影響して治りにくくなってしまいます。
鍼(ハリ)では、基本的な便秘のツボとして、背部は、大腸兪(だいちょうゆ)・腎兪(じんゆ)・胃兪(いゆ)・脾兪(ひゆ)・肝兪(かんゆ)・次髎(じりょう)などのツボを使います。
腹部は、中脘(ちゅうかん)・天枢(てんすう)・大巨(だいこ)・関元(かんげん)、気の流れを良くする支溝(しこう)などを使い、大腸の運動を改善していきます。
更に、熱・冷え・乾燥などが便秘を治りにくくしているので、それらを除去するツボを使いながら、便秘の改善を促したり、時には、弱った身体を元気にするようなツボも使って便秘の改善をしていきます。
『熱秘』には、水分を補い、胃腸の乾燥を防ぐため豊隆(ほうりゅう)・曲池(きょくち)・合谷(ごうこく)などを使い 便秘を改善します。
『寒秘』には.体の中にある冷えを取り除き、身体を元気にするため、三陰交(さんいんこう)関元・足の三里(あしのさんり)などを使い、便秘の改善します。
『燥秘』には、腸内の水分を補い、大腸の運動を活性化するため、尺沢(しゃくたく)・足三里 ・関元 などを使い、便秘の改善します。
『気秘』には、身体を元気にして、大腸そのものの動きも元気にするため内関(ないかん)・合谷(ごうこく)・大衝(たいしょう)・気海 (きかい)などを使い。便秘の改善をします。
『虚秘』には、気虚秘と血虚秘があります。
「気虚秘」には、身体を元気にして大腸の働き、特に排便をする力を取り戻すため、合谷・足の三里・気海(きかい)肺兪 などを使い、便秘の改善をします。
「血虚秘」には、身体の増血と大腸の水分を補うため、血海(けっかい)・三陰交・足の三里・関元 などを使い、便秘の改善をします。
上記のツボと、基本穴(ツボ)を合わせて便秘の改善していきます。
便秘の原因である腸の働きの改善だけでなく全身を含めた体質改善することによって、より効果的に便秘を改善していきます。
人それぞれ色々な症状が隠れている場合もありますので、一回で治るものではありませんが、確実に便秘は改善していきます。永く下剤を飲み続けている方や下剤を辞めたいがどうして良いか分からない方は、是非、ご相談下さい。お待ちしています。
腸閉塞の記事は ↓
https://www.toho-massage.com/salon/yokohama/news_detail.php?id=1317
加世田
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2021年02月14日
50代・男性
その後ガスがたまりぬけません
この様な時にハリ治療は有効ですか?
コメントありがとうございます。
開腹手術後には、腸閉塞や腸ねん転になりやすいので、お困りの事と思います。
https://www.toho-massage.com/salon/yokohama/news_detail.php?mode=preview&id=1317
上記のページに腸閉塞についてブログを乗せているように、腸ねん転や腸閉塞にも鍼治療(腸の動きを活発にする)は効果が期待できますので、ぜひお試しください。
ただ、継続的な治療が必要になると思われますので、ご了承ください。 お待ちしています。 加世田