〇　腸腰筋について
　さて、接骨院や整体などに行って、仰向けで指をお腹に突っ込まれて痛い思いをした方がいるのではないかと思いますが、その際に施術している筋肉について、少しご紹介させていただきます。
　そのような施術をするときのターゲットのひとつとして、「腸腰筋」があります。「聞いたことがある。」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。　「腸腰筋」というのは、一言でいうと、お腹の中で背骨側にある大きな筋肉で、「大腰筋」、「腸骨筋」及び「小腰筋」という複数の筋肉の総称です。いずれも、最後は、大腿骨の付根内側（「小転子」という部分）に付きます。

　「大腰筋」は、腰椎（腰部分の背骨）から始まって、内臓の背中側、さらにその下の骨盤の内側を通って小転子にくっつきます（「小腰筋」は小さい筋肉で、ない人もいるようですので、あまり気にしなくよさそうです。）

〇　腸腰筋の作用
　大腰筋は背骨から、腸骨筋は骨盤の内側から、お腹の中を通って骨盤の下にある大腿骨の付根に繋がっていますから、この筋肉が縮むことにより、（図を見て想像していただきたいのですが、）腿を前に引き上げることになります。これがこの筋肉の主な役割です。腿の方を固定した場合には、上半身を前に倒すことになります。

〇　腰痛との関係
　腰椎は基本的には前弯していますが、腸腰筋が縮み、凝ってくると、その前弯を強める力になってしまいます。また、時々、腰椎の前弯がなくなってしまって逆に後弯している人がいますが、その人には、やはり、その後弯を強める方向に働きます。太い筋肉なので、その力も必然的に強いものになります。
　腰痛には様々な原因がありますが、この腸腰筋が硬くなることも大きな原因の一つと言われています。

〇　施術及びセルフケア
　冒頭で紹介したような、圧迫する方法とストレッチをかける方法の２つに大きく分けられますが、具体的なやり方は様々なものがあります。
　セルフケアもほぼ同様で、「腸腰筋　セルフケア」などで検索してみると、多くのホームページや動画などが出てきますので、ご自身に合ったものを探してみてください。

〇　まとめ
　腰が辛いとおっしゃるお客様に対して、私は結構施術させていただくいのですが、痛みのある手技になってしまうことが多いため、せめて、何をしているのか、どういう目的でやっているのかということについてご理解いただきたいと考えて、紹介させていただきました。
凝っている時ほど痛い場合が多いと思います。我慢できなかったり、お腹を触られるのは嫌だったりというお客様もおられると思いますので、その場合は遠慮なく仰ってください。